
SNSアカウント売買は違法?規約違反?法的観点から解説
2026.02.10
「SNSアカウントの売買って違法なの?」「逮捕されたりしない?」——SNSアカウントの購入や売却を検討する方が、最初に気になるのがこの疑問ではないでしょうか。結論から言えば、SNSアカウントの売買自体を禁止する法律は日本に存在しません。この記事では、法律と各SNSプラットフォームの利用規約の両面から、アカウント売買の法的な位置づけをわかりやすく解説します。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の判断については弁護士等の専門家にご相談ください。
結論:アカウント売買を罰する法律はない
まず最も重要なポイントを明確にしておきます。2026年現在、日本の法律にはSNSアカウントの売買を直接禁止・処罰する規定はありません。
刑法、不正アクセス禁止法、特定商取引法、古物営業法など、売買行為に関連しうる法律はいくつかありますが、いずれも「SNSアカウントの売買」そのものを違法とする条文は含まれていません。つまり、アカウントを売ること・買うこと自体は法律上の犯罪行為には該当しないのです。
ただし、売買に付随する行為が法律に抵触するケースはあります。例えば、他人のアカウントに無断でログインする行為は不正アクセス禁止法に該当する可能性がありますし、アカウントの内容について虚偽の説明をして売却する行為は詐欺罪に問われる可能性があります。しかし、これはアカウント売買が違法なのではなく、「不正アクセス」や「詐欺」という別の犯罪が問題になっているに過ぎません。自分のアカウントを正当な手段で売買する行為そのものは法律で禁止されていない、ということを理解しておきましょう。
各SNSプラットフォームの利用規約の立場
法律上は問題がなくても、各SNSプラットフォームの利用規約はどうなっているのか。ここは正確に理解しておく必要があります。
Instagramの利用規約では、アカウントの売買や譲渡について明確に禁止する条項が含まれています。Instagramの親会社であるMeta社は「他人のアカウントの購入・販売・譲渡を試みてはならない」と規定しています。X(旧Twitter)も同様に、利用規約上はアカウントの売買を禁止する立場を取っています。TikTok、YouTube(Google)、LINEなど他の主要プラットフォームも、規約上はアカウントの譲渡や売買に対して制限的な姿勢です。
ここで押さえておくべきポイントは、「利用規約違反」と「法律違反」はまったく別物であるということです。利用規約はあくまでプラットフォーム企業とユーザーの間の契約条件であり、法律ではありません。規約に違反した場合に起こりうるのは「アカウントの凍結・停止」などプラットフォーム側の対応であって、警察に逮捕されたり罰金を科されたりするものではないのです。
「規約違反だから危険」は正確ではない
「利用規約で禁止されているから危険」という意見をインターネット上でよく見かけますが、これはやや不正確な理解です。
実際のところ、SNSアカウントの売買は業界として成立しており、国内には複数のアカウント売買マーケットプレイスが運営されています。これらのサービスが長年にわたって合法的に事業を継続できているのは、売買行為自体が法律に違反しないからです。
また、アカウントの売買は企業のM&A(事業譲渡)の文脈でも日常的に行われています。例えば、あるメディア企業が別の企業を買収した際に、その企業が運営していたSNSアカウントも一緒に移管されるケースは珍しくありません。飲食店や美容サロンのオーナーが変わった際に、店舗のSNSアカウントが新オーナーに引き継がれるのも一般的な光景です。
重要なのは「法律上は問題がないが、プラットフォームの規約との関係は理解した上で取引する」という正確な認識を持つことです。
アカウント売買で実際にリスクがあるケース
アカウント売買自体は違法ではありませんが、取引の方法によってはリスクが生じるケースがあります。どのような場合に問題が起こるのかを知っておくことで、安全に取引するための判断ができるようになります。
まず「個人間の直接取引」は最もリスクが高い取引方法です。SNSのDMやフリマアプリ、掲示板などで見知らぬ相手とアカウントを直接やり取りする場合、代金を支払ったのにアカウントが引き渡されない、引き渡し後にパスワードを変更されてアカウントを取り返される、売り手が本人確認を経ていないため身元がわからない、といったトラブルが発生するリスクがあります。
これに対して、信頼できるマーケットプレイスを通じた取引であれば、エスクロー決済(代金の一時預かり)によって持ち逃げリスクが排除され、出品者の本人確認が実施されているため身元が明確で、万が一トラブルが発生した場合も運営が仲裁に入る体制が整っています。
つまり、アカウント売買のリスクは「売買行為そのもの」ではなく「取引方法の安全性」に起因するものです。安全な取引方法を選ぶことで、リスクは大幅に低減できます。安全な取引方法についてはアカウント売買で詐欺に遭わないための5つのチェックポイントの記事でも詳しく解説しています。
不正アクセス禁止法との関係
「アカウント売買は不正アクセスに当たるのでは?」という疑問を持つ方もいるため、この点についても整理しておきます。
不正アクセス禁止法で禁止されているのは「アクセス権限を持たない者が、他人のIDやパスワードを使って不正にログインする行為」です。具体的には、他人のアカウントに無断でログインする、フィッシングサイトでIDとパスワードを騙し取る、不正に取得したログイン情報を第三者に提供する、といった行為が対象です。
一方、アカウントの所有者が自分の意思でログイン情報を買い手に引き渡す行為は「不正アクセス」には該当しません。売り手が正当な所有者であり、合意の上でアカウントを譲渡するプロセスは、不正アクセス禁止法が想定している「不正」な行為とは本質的に異なります。
ここで重要になるのが「売り手が本当にアカウントの正当な所有者であるか」の確認です。盗まれたアカウントや、他人から不正に取得したアカウントを売買に出す行為は問題になり得ます。だからこそ、出品者の本人確認を実施しているマーケットプレイスを利用することが、買い手にとっても売り手にとっても重要なのです。
古物営業法との関係
「アカウントの売買には古物商の許可が必要なのでは?」という疑問もよくあります。
古物営業法は、中古品(古物)の売買を業として行う場合に古物商許可が必要と定めています。しかし、SNSアカウントが古物営業法上の「古物」に該当するかどうかは、法律上明確に定義されていません。
古物営業法が対象としている「古物」は、美術品、衣類、時計、自動車、書籍などの有体物(物理的に存在するもの)が中心であり、デジタルアカウントのような無体物は典型的な古物とは性質が異なります。現時点では、SNSアカウントの売買に古物商許可が必須とする明確な法的見解や判例は出ていません。
ただし、法律の解釈は時代とともに変化する可能性があるため、アカウント売買を頻繁に行う場合は、必要に応じて専門家(弁護士など)に確認しておくと安心です。
安全にアカウント売買を行うためのポイント
ここまで見てきたように、アカウント売買は法律上違法ではありませんが、取引の安全性を確保するためにいくつかのポイントを意識することが大切です。
最も重要なのは、信頼できるマーケットプレイスを利用することです。代金の一時預かりに対応していること、出品申請時に必要情報を確認する流れがあること、トラブル時に運営へ状況を共有できる導線があること——これらは取引リスクを抑えるための確認材料になります。
個人間での直接取引は避けるのが賢明です。代金の持ち逃げ、アカウントの取り返し、虚偽の情報による出品など、個人間取引ではトラブルが発生しても救済手段が限られます。安全な取引の仕組みについてはエスクロー決済とは?アカウント売買で安全に取引する方法の記事も参考にしてください。
また、購入後はすぐにパスワードの変更やログイン情報の更新を行い、アカウントのセキュリティを確保しましょう。二段階認証の設定変更についてはアカウント引き渡し時の二段階認証ガイド|プラットフォーム別の解除・変更手順の記事で詳しく解説しています。
まとめ
SNSアカウント売買を直接禁止する法律は日本に存在しません。各プラットフォームの利用規約では制限的な立場が取られていますが、利用規約違反と法律違反はまったく別の問題です。アカウント売買で実際にリスクが生じるのは「取引方法」の問題であり、取引条件や引き渡し方法を確認できるマーケットプレイスを通じて進めることで、リスクを抑えやすくなります。
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