
SNSアカウント売買の確定申告ガイド|売却益・購入費用の税務処理
2026.02.11
SNSアカウントを売却して利益が出た場合、確定申告は必要なのか。アカウントを購入した場合、その費用は経費にできるのか。こうした税務面の疑問は、アカウント売買を検討する方にとって気になるポイントです。この記事では、アカウント売却益の確定申告と購入費用の税務処理について、基本的な考え方を解説します。購入・売却の流れはSNSアカウント購入の完全ガイドもあわせてご覧ください。
※この記事は一般的な税務知識の共有を目的としており、個別の税務判断については税理士などの専門家にご相談ください。
アカウントを売って利益が出たら申告は必要?
結論として、SNSアカウントを売却して利益(売却益)が出た場合、確定申告が必要になるケースがあります。ただし、すべての人が申告しなければならないわけではなく、所得金額や給与状況によって異なります。
会社員(給与所得者)の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。アカウントの売却益がこの金額を超えた場合は、確定申告の対象となります。逆に言えば、売却益が20万円以下であれば、原則として確定申告は不要です(ただし住民税の申告は別途必要な場合があります)。
個人事業主・フリーランスの場合は、金額にかかわらず確定申告の対象となります。SNSアカウントの売却益は事業所得または雑所得として計上するのが一般的です。
法人の場合は、売却益は法人の収益として計上され、通常の法人税の対象になります。
売却益の計算方法
SNSアカウントの売却益は「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」で計算するのが基本的な考え方です。
取得費とは、そのアカウントを取得するためにかかった費用です。もともと自分で育てたアカウントの場合、アカウント運用にかかった広告費、撮影費、外注費、ツール利用料(Canva Pro、Adobe Creative Cloud、Later、Bufferなどの有料プランの費用)などが該当する可能性があります。ただし、どこまでを取得費として認められるかは個別の判断が必要なため、税理士に確認するのが安全です。
アカウントを購入して運用した後に転売する場合は、購入時の価格が取得費になります。
譲渡費用は、売却のためにかかった手数料です。マーケットプレイスの販売手数料などが該当します。
例えば、あるアカウントを売却したケースで、売却価格が50万円、過去にかかった運用関連費用が5万円、マーケットプレイスの販売手数料が2.5万円だった場合、売却益は50万 − 5万 − 2.5万 = 42.5万円となります。
所得区分はどうなる?
SNSアカウントの売却益がどの所得区分に該当するかは、売却の頻度や目的によって異なります。
事業としてアカウント売買を行っている場合は「事業所得」に分類される可能性が高いです。たまたま不要になったアカウントを1回だけ売却した場合は「雑所得」または「譲渡所得」に分類されるのが一般的です。
事業所得に該当する場合は、他の事業の損失と通算できるなどのメリットがある一方、事業として認められるためには反復継続して行っていることが条件になります。1〜2回の売却であれば雑所得として計上するケースが多いでしょう。
デジタル資産(SNSアカウント)の所得区分については税法上の明確な規定がまだ整理されていない部分があるため、金額が大きい場合は税理士への相談をおすすめします。freeeやマネーフォワード クラウドなどの会計ソフトを使っている方は、仕訳の入力方法についても税理士に確認しておくとスムーズです。
アカウント購入費用は経費にできる?
ビジネス目的でSNSアカウントを購入した場合、その費用を経費として計上できる可能性があります。これは購入を検討する方にとって大きなメリットです。
個人事業主やフリーランスの場合、事業の集客・マーケティング目的でアカウントを購入した費用は「広告宣伝費」として経費計上できると考えられます。例えば、パーソナルジムの集客のためにフィットネス系Instagramアカウントを購入した場合、そのアカウントは事業の集客に直接使われるため、広告宣伝費としての計上が認められる可能性が高いです。
法人の場合も同様に、事業目的でのアカウント購入費用は広告宣伝費として損金算入できると考えられます。
ただし、経費として認められるためにはいくつかのポイントがあります。事業との関連性が明確であること、購入の記録(領収書や取引明細)を保管していること、そして購入目的が事業上合理的に説明できることが重要です。
マーケットプレイスを通じた取引であれば、取引履歴や明細が残るため、個人間取引と比べて記録の管理が容易です。確定申告の際に「いつ・いくらで・何のために購入したか」を証明できる書類を揃えておきましょう。
購入費用の勘定科目
アカウント購入費用を帳簿に記録する際の勘定科目は、主に以下のいずれかが使われます。
「広告宣伝費」は最も一般的な選択肢です。SNSアカウントをマーケティング・集客の手段として購入した場合、その費用は広告宣伝活動の一環と捉えることができます。
「無形固定資産」として計上し、減価償却する方法も考えられます。アカウントを長期的に事業資産として使用する場合、無形固定資産として計上し耐用年数に応じて減価償却するという処理が適切なケースもあります。ただし、SNSアカウントに対応する法定耐用年数は明確に定められていないため、税理士の判断が必要です。
金額が少額の場合は「消耗品費」や「雑費」として一括計上する方法もあります。
いずれの場合も、会計処理の判断は個別の事業状況によって異なるため、freee、マネーフォワード クラウド、弥生会計などの会計ソフトで仕訳を入力する際は、税理士に適切な勘定科目を確認することをおすすめします。
売り手側の確定申告で注意すべきこと
アカウントを売却した側が確定申告をする際に注意しておくべきポイントがいくつかあります。
まず、売却代金の受領記録はしっかり保管しましょう。マーケットプレイスを通じた取引であれば、取引完了時の明細が残ります。銀行口座への振込記録も証拠になるため、通帳やオンラインバンキングの明細を保存しておいてください。
取得費の算出が難しい場合もあります。自分でゼロから育てたアカウントの場合、過去にかけた運用コストをすべて正確に把握するのは現実的に難しいケースがあります。その場合は、概算取得費として売却価格の5%を取得費とする方法も認められています。ただし、これは最低限の取得費であり、実際にかかった費用の方が大きい場合は、領収書や明細を元に実額で計算する方が有利です。
副業でアカウント売買をしている会社員の方は、確定申告をすると住民税の通知が会社に届く場合があります。会社に副業を知られたくない場合は、確定申告書の「住民税の徴収方法」で「自分で納付(普通徴収)」を選択することで、住民税が会社経由ではなく自分宛に届くようにできます。
買い手側が確定申告で押さえておくべきこと
アカウントを購入した側にも確定申告で押さえておくべきポイントがあります。
最も重要なのは、購入費用の証拠書類を保管しておくことです。経費として計上するためには「いつ・いくらで・何のために購入したか」を証明できる書類が必要です。マーケットプレイスの取引明細、銀行振込の記録、クレジットカードの利用明細などを保管しておきましょう。
購入後にかかる運用費用(コンテンツ制作費、ツール利用料、広告費など)も事業に関連するものであれば経費計上の対象になります。SNS運用に使うCanva Pro(月額1,000円程度)、予約投稿ツールのLater(月額数千円)、動画編集のCapCut Pro(月額1,000円程度)などのサブスクリプション費用も、事業利用であれば経費として計上できます。
法人の場合は、アカウント購入費用の消費税の取り扱いも確認が必要です。国内のマーケットプレイスを通じた取引であれば、仕入税額控除の対象になる可能性がありますが、詳細は税理士に確認してください。
税務調査に備えて記録を残す
確定申告の内容は、税務署による税務調査の対象になる可能性があります。SNSアカウント売買はまだ新しい取引形態であるため、税務署から問い合わせを受けた際にきちんと説明できるよう、記録を整備しておくことが大切です。
保管しておくべき書類としては、マーケットプレイスの取引履歴・取引完了メール、銀行振込の記録(通帳・明細)、アカウントの利用目的がわかる資料(事業計画書やマーケティング資料など)、運用にかかった費用の領収書・明細などが挙げられます。
個人事業主の場合は帳簿の保存義務が7年間、法人の場合も帳簿・書類の保存義務が原則7年間あるため、関連書類はしっかり保管しておきましょう。
まとめ
SNSアカウント売買の税務処理は、基本的な考え方を理解しておけば難しいものではありません。売却して利益が出た場合は確定申告が必要になるケースがあり、購入費用は事業目的であれば経費計上できる可能性があります。いずれの場合も取引の記録をきちんと保管しておくことが重要です。
なお、個別の税務判断は事業の状況や取引の内容によって異なるため、金額が大きい場合や判断に迷う場合は税理士に相談することをおすすめします。
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