
Visa/Master決済規制とアダルトファンクラブへの影響|今後の対策まとめ
2026.03.02
2020年以降、Visa/Mastercardがアダルトコンテンツプラットフォームへの審査を世界的に強化している。この動きは日本国内のファンクラブサービスにも直接的な影響を及ぼしており、FantiaではVisa/Masterの一部利用停止、FC2コンテンツマーケットではクレカ決済がほぼ全面停止という事態に発展した。myfansやCandFansは2026年2月時点では利用可能だが、同様の規制が入る可能性はゼロではない。アダルト系クリエイターにとって、この決済規制の背景と対策を理解しておくことは収益を守るうえで不可欠だ。
決済規制の発端|2020年Pornhub報道
Visa/Mastercardによるアダルトプラットフォームへの規制強化は、2020年のPornhub報道がきっかけだ。
2020年12月、ニューヨーク・タイムズがPornhub上に未成年者のコンテンツや同意のない映像が大量にアップロードされている実態を報じた。この報道を受けてVisa/Mastercardはpornhub.comでの決済を即座に停止。Pornhubは未承認アカウントの動画をすべて削除するという大規模な対応を余儀なくされた。
この一件がきっかけとなり、Visa/Mastercardはアダルトコンテンツを扱うプラットフォーム全体に対する審査基準を大幅に引き上げた。以降、コンテンツの年齢確認、同意確認、違法コンテンツの監視体制が厳格に求められるようになり、基準を満たせないプラットフォームは決済停止のリスクを負うことになった。
2022年以降の審査強化と国内サービスへの波及
2022年以降、Visa/Mastercardの審査強化はさらに加速した。特に「BRAM(Brand Risk and Merchant Monitoring)」と呼ばれるプログラムにより、アダルトコンテンツプラットフォームに対する継続的な監査が義務化された。
この審査強化の影響で、日本国内のサービスにも具体的な影響が出始めた。
pixivFANBOXは2022年に実写R-18コンテンツの規制を強化した。実写アダルト系のクリエイターはpixivFANBOXでの活動が事実上不可能になり、多くがFantiaやmyfansへ移行した。さらにR-18コンテンツ全般に対する手数料の引き上げも行われ、二次元系クリエイターにも影響が及んだ。
Fantiaは2024年以降、Visa/Mastercardの一部利用が停止された。JCBなど他のカードブランドは利用可能なケースが多いものの、Visa/Masterが使えないことで一部のユーザーが購入を断念する事態が生じている。
FC2コンテンツマーケットはもっとも深刻な影響を受けた。クレジットカード決済がほぼ全面停止に追い込まれ、FC2ポイントでの決済が中心になっている。ユーザーの購入ハードルが大幅に上がり、売上の減少が報告されている。
OnlyFansの2021年騒動|一時禁止から撤回まで
海外のサービスでもっとも象徴的な出来事が、2021年のOnlyFansのアダルトコンテンツ禁止騒動だ。
2021年8月、OnlyFansはアダルトコンテンツを同年10月から禁止すると発表した。これはVisa/Mastercardなどの決済パートナーからの圧力が背景にあったとされている。クリエイターやユーザーから猛烈な反発が起こり、最終的にOnlyFansは禁止方針を撤回した。
この騒動は撤回されたとはいえ、プラットフォーム依存のリスクを世界中のクリエイターに突きつけた。決済パートナーの意向ひとつで、プラットフォームのルールが一夜にして変わりうるという現実が明確になった出来事だ。
国内各サービスの現在の決済状況
2026年2月時点での各サービスの決済状況を整理する。
myfans — Visa/Mastercard利用可能。現時点では決済に大きな制限はないが、今後の保証はない。手数料12.5%と低水準を維持しており、実写アダルト系のメインプラットフォームとして機能している。
CandFans — Visa/Mastercard利用可能。複数の決済手段に対応しており、クレジットカード以外の選択肢があることが強みだ。仮にVisa/Masterが停止されても、他の決済手段でカバーできる可能性がある。
Fantia — Visa/Mastercardの一部利用が停止中。JCBなどは利用可能なケースが多い。二次元・コスプレ系では引き続き主要プラットフォームだが、決済面での制約は否定できない。
FC2コンテンツマーケット — クレカ決済ほぼ全面停止。FC2ポイントでの決済が中心で、新規ユーザーの獲得が難しくなっている。
pixivFANBOX — 実写R-18規制強化済み。R-18コンテンツの手数料引き上げも実施。二次元系の全年齢〜軽度R-18向けとしては利用可能。
OnlyFans — 2021年騒動後、アダルトコンテンツは継続容認。ただし審査は以前より厳格化している。
この状況は随時変わる可能性があるため、最新の情報は各サービスの公式サイトで確認してほしい。
なぜVisa/Masterが規制を強化するのか
Visa/Mastercardが規制を強化する背景には、ブランドリスクの管理がある。
クレジットカード会社はグローバルな決済ネットワークを運営しており、その加盟店で違法行為やコンテンツ問題が発生した場合、カード会社自体のブランドイメージに傷がつく。特に未成年者保護やコンテンツの同意確認に関する問題は、メディアや規制当局からの批判に直結するため、カード会社としては積極的にリスクを排除する方向に動く。
アダルトコンテンツは他のジャンルと比べて「高リスクカテゴリ」に分類されており、チャージバック(返金要求)の発生率も高い。カード会社にとってはリスクとコストの両面で負担が大きいカテゴリであり、審査基準の引き上げや場合によっては取引停止という判断に至りやすい構造がある。
この構造的な問題は今後も解消される見通しが低く、アダルト系プラットフォームへの規制は長期的に続くと考えるのが現実的だ。
クリエイターが取るべき5つの対策
決済規制リスクに対して、クリエイターが取れる対策は5つある。
1. 複数サービスに収益を分散させる。 もっとも基本的かつ効果的な対策だ。myfans+CandFansの二刀流、あるいはFantia+CandFansなど、少なくとも2つのサービスで収益を得る体制を作る。1つのサービスで決済が停止しても、もう1つで収益を維持できる。
2. クレジットカード以外の決済手段があるサービスを確保する。 CandFansは決済手段の多様性に強みがあり、Visa/Masterが使えなくなった場合のバッファになりうる。決済手段が多いサービスほど規制の影響を受けにくい。
3. SNSアカウントという自分の資産を強化する。 決済規制でプラットフォームが使えなくなっても、自分のXアカウントにフォロワーがいれば、別のサービスにファンを誘導できる。プラットフォームは変わっても、SNSのフォロワーは自分のもとに残る。SNS集客の重要性については「myfansで稼ぐためのSNS集客戦略」で詳しく解説している。
4. 規制の動向を定期的にチェックする。 Visa/Mastercardの規制は段階的に強化されている。自分が利用しているサービスの決済状況や規約変更を定期的に確認し、変化があった場合にすぐ対応できるよう準備しておく。
5. 海外サービスも選択肢に入れる。 日本国内のサービスだけでなく、OnlyFansやFanslyなど海外のサービスも視野に入れておくと、国内の決済環境が悪化した場合の代替手段になる。ただし、海外サービスは日本語対応が限定的で、日本国内のユーザーへのリーチは劣る点を考慮する必要がある。国内サービスと海外サービスの比較は「OnlyFans vs 国内サービス比較」で整理している。
プラットフォーム運営者の対応と生き残り戦略
決済規制に対する各プラットフォームの対応は大きく分かれている。
積極対応型のプラットフォームは、Visa/Mastercardの審査基準に合わせてコンテンツポリシーを厳格化し、年齢確認や同意確認の仕組みを強化することで決済パートナーとの関係を維持している。myfansやCandFansはこの方向で対応を進めていると見られるが、規制基準は年々厳しくなっているため、今後も継続的な対応コストが発生する。
代替決済シフト型は、クレジットカードに頼らない決済手段への移行を進めるアプローチだ。FC2がFC2ポイントでの決済を中心に移行したのはこのパターンだ。ただし、クレジットカードに比べてユーザーの利便性が低下するため、売上の減少は避けられない。
コンテンツ規制型は、アダルトコンテンツの取り扱い自体を制限・撤退する方向だ。pixivFANBOXが実写R-18を規制したのはこのパターンに該当する。プラットフォームとしてはリスクを排除できるが、クリエイターにとっては活動の場を失うことになる。
クリエイターとしては、自分が利用しているサービスがどの方向で対応しているかを把握し、万が一の方針転換に備えた代替サービスを常に確保しておくことが重要だ。
暗号資産決済は代替手段になるか
決済規制の影響を受けない手段として暗号資産(仮想通貨)決済が注目されることがある。暗号資産はVisa/Mastercardのネットワークを経由しないため、カード会社の規制の影響を直接受けない。
しかし、暗号資産決済が主流になる可能性は当面低いと考えるべきだ。一般ユーザーにとって暗号資産の購入・保有・送金のハードルは依然として高く、国内のファンクラブサービスで暗号資産決済を導入しているプラットフォームもほとんどない。
将来的に暗号資産決済が普及する可能性はあるが、現時点ではクレジットカード以外の既存の決済手段(コンビニ決済、キャリア決済、銀行振込など)を活用する方が現実的だ。
決済規制時代のSNSアカウントの重要性
決済規制の時代において、クリエイターがもっとも重視すべき資産はSNSアカウントだ。
プラットフォームの決済状況は自分ではコントロールできない。しかし、自分のXアカウントからファンを任意のサービスに送客する力は自分でコントロールできる。決済が使えるサービスにファンを誘導すれば、どのプラットフォームが規制を受けても収益を維持できる。
Xアカウントをゼロから育てるには時間がかかるが、すでにフォロワーがいるアカウントを購入して運用を始める方法もある。購入の基本はSNSアカウント購入の完全ガイドを参照してほしい。アカバイでは出品者全員に本人確認・SMS認証を実施し、エスクロー決済で取引を保護している。購入者の手数料は0%で、購入後はSNS運用マニュアルの閲覧や運営への相談も可能だ。
ただし、アカウント購入にはリスクもある。本人確認やエスクロー決済のない取引プラットフォームでは、パスワード変更によるアカウント奪還、代金持ち逃げ、違反歴のあるアカウントを掴まされるといったトラブルが起こりうる。安全な取引環境を選ぶことが大前提だ。
まとめ
Visa/Mastercardの決済規制はアダルト業界全体に影響を及ぼしており、今後も規制が緩和される見通しは薄い。Fantiaの一部停止やFC2の全面停止はすでに現実に起きており、myfansやCandFansにも波及する可能性がある。クリエイターは複数サービスへの収益分散、決済手段が多様なサービスの確保、そして自分のSNSアカウントの集客力強化の3つを柱にして、決済環境の変化に備えてほしい。




